コーネルロースクール LL.M. のお話

コーネルロースクールに通うことになる人たちにとって参考になればいいなと思っています。

コーネルロースクール LL.M. のお話

質問タイム

「読んでも読んでも、本に何が書いてあるか分からない。」

 

日本の法科大学院に入学してから1年半、法律の基本書を読んでいて、僕はずっとこのような感覚を覚えていました。

加えて、読んで分かったとしても、すぐに忘れてしまう。

結局ちゃんと自分の言葉で理解できていなかったんですよね。

そのせいで、復習ゼミの時に友達に「だから!!ここがこうで!!こうだから!!こうなんだよ!!」みたいなことを、毎週毎週言われていました。

彼の助けが無ければ、成績が足りず、コーネルロースクールに交換留学生として来ることができなかった気がします。

彼以外にも色んな人に支えてもらったので、沢山感謝しないといけないんですが、彼は法科大学院の友人の中で勉強面では一番お世話になりました。

彼の「結果出して帰って来いよ~」は、僕にとってとても重い言葉です。

お土産は何がいいかなぁ…

 

僕が日本の法科大学院でどのような感じだったかについてはそのうち書くとして…

 

最近僕は12時前まで学校の図書館に残っています。

なぜか?予習課題として指定されたページが読み終わらないから。

 

長いんですよ。それに一度読んでも何が書いてあるか理解できないので、頭に入ってこない。

 

もともと、読むスピードと読解力が一般的なレベルよりも低い気がするんですよね。日本語でも英語でも。

法曹を目指す人間としてそれはまずいんじゃないのかと思っているのですが、なかなか読むスピードも読解力も上がらない。

 

周りの日本人が「遅くまでがんばるねぇ…」って言ってきますが、多分それくらいしても皆さんと同じレベルか、それ以下の量しかこなせていないですよ(笑)

 

今期僕は13単位分授業をを取ったのですが、他の日本人は皆14単位以上を取っていて、人によっては16単位授業を取っているらしいです。大体僕よりも1授業分ぐらい多い。

なんとなくキャパの面で僕は皆さんに負けている気がします(別に比べるものではないのですが)。

 

噂ではフランス人の女の子が17単位とか。多分僕より2授業分ぐらい多い。

頭が良いのか?それとも要領よく人からノートをもらったりして切り抜けているのか?

僕は要領が悪いので、こういう人結構嫌いです(笑)。嫉妬します(笑)。

 

でもこのままではいけないんですよね。完璧に悪循環に陥ってしまってる。

読み終わらないから、深夜まで残っている。

寝不足で次の日の授業に臨む、授業について行けない。

先生の所に質問に行って、授業でついて行けなかったところを聞く。

また予習を始める。

終わらない。遅くまで残る。読み終わらない・・・

 

ケースブリーフだけ読んでも、事実関係に結構深く入るので、それじゃあんまり対応できませんし…

質問に行ったら…

ホワイトヘッド先生「本読んでないでしょ?条文読んでないでしょ?」

っと返ってきて、その場でシュン…となってしまったり。

 

そんなわけで、最近先生に、授業で先生が話している内容について行くためにはどのような勉強をすればいいのかを相談しているのですが…

契約法のテイラー先生「あなたの授業に関する質問を聞く限りは、方向性は間違ってないと思うわよ」

うーん・・・

ただ、授業で扱う判例の書きっぷりが、どうも僕にはスッと落ちないんですよね。

例えば、今日やった「信義則」の話。

僕の理解が正しければ、信義則というのは、契約の成立要件の一つであるConsideration(約款)が欠けていた場合に、それを補填する役割として登場した論理って言うのが始まりだったのに、今日の授業で扱った判例はConsiderationの要件が満たしていても、他の要件が満たしていない事実関係のもとでも、信義則を適用したというもの。

明日扱う判例は、そもそも契約の交渉段階で、一方当事者がある程度色々と支出した後に、両者が交渉をやめてしまったため、契約が成立せずに終了した場合。そしてこの場合に損害賠償の請求ができるか?と言う話です。

 

日本法での契約締結上の過失の話に似ているんですかね?

そういえば、民法改正後は契約締結上の過失がなくなるんでしたっけ?

 

僕にはどうも…この信義則が認められた判例に書かれている内容が、事実関係から上手いこと一方当事者を救うことができるようにするために、技巧的に論理を展開した内容のように見えたんですよね。

こんなのからどうやって抽象的なルールを探すんだよ?

っとまぁ、多分頭が固いだけなのかもしれませんが、とりあえず先生の所に質問に行きました。

すると、

テイラー先生「日本だと、条文や規範が存在しない新しい問題点が出てきた場合には、どうやって処理するの?」

僕「(…わ、分からんけど)似たような事実関係の判例を見つけ出して、そこで展開されている論理を上手く適用できないかを判断するんじゃないんですかね?」

テイラー先生「それをやればいいのよ」

 

あ、なるほど・・・

なんとなく言わんとしていることは分かりますわ。

っていうか、これって、多分他の日本人の人に勉強法を相談した時に言われたことと似ているんですよね。

そういえば、インターンの時に案件に使えそうな判例のリサーチをさせられて、なんでこれが使えそうかについて、何となく話をさせられたような…そうでないような…(そのあと判例の英訳お願いされて、提出したら、添削されて真っ赤になって返ってきて、笑った記憶が…)

 

何かをつかみかけてはいるのですが、要領が悪いので、当分は苦労しそうです。