コーネルロースクール LL.M. のお話

コーネルロースクールに通うことになる人たちにとって参考になればいいなと思っています。

コーネルロースクール LL.M. のお話

交換留学生、日本人、選挙 その①

「む…マイブックロッカーが無い…」

この出来事が、日本人や交換留学生について色々と考えさせられることになる事件(事件と言うほどのものではないですが)の始まりでした。

 

コーネルロースクールスタッフ「各LLM生にはブックロッカーが用意されます」

8月10日のガイダンスでブックロッカーのことを話された頃は、僕は到着したばかりで学校や生活に慣れておらず、加えて手続きでバタバタしていたため、注意して聞いていませんでした。

 

導入講義が終わり、本格的に授業が始まろうとしていた頃でした。

各授業で、本を読んで来いと言う予習課題が出されるのですが、各授業の本はとても厚くて重いのです。それもほとんどがハードカバー。例えばBusiness Organizations の授業だと、約5センチの基本書と条文集2冊。持ち運ぶだけで一苦労です。

僕の住んでるメープルウッドは学校から徒歩で15分ぐらいなので、歩いて登下校するには大した距離ではないのですが、流石に重い本をリュックに入れて登下校するとなると部屋に着くころには肩が痛くなるし、そのうちリュックが壊れそうで大変です。

それで、ロッカーを見つけるかとなって、コーネルのウェブサイトで自分のブックロッカーを探したのですが…

「あなたのロッカーは『』」 空白????

よく分からなかったので、周りにいたLLM生にこれどういうこと?と聞いても、「???」と、分からない感じでした。

 

事務所に行って聞いてみたところ、「君にブックロッカーはありません。その代りコートロッカーを一人で利用することができます。」と言われました。

これは困った…どうしようか???

そもそもなんで僕にはブックロッカーがないんだ???

っと、僕は途方に暮れていました。

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そのころ、LLM生の間で、あるイベントが開催されていました。

それはLLM生の代表、副代表等、いくつかの役職を決めるイベントでした。

 

役職はLLMの代表、副代表、第二副代表、秘書、会計係(最後のいるのか???)

あと、学級委員みたいな役職もありました。

なんかよく分かりませんが、そういった役職にLLMの誰かが立候補して、投票して決めるわけなんです。

各役職に対して5人ぐらい立候補していましたね。

日本人は僕も含めて誰も立候補しませんでした。

 

※ここからは推測が入っています…

LLM生は今年89人いました。さて、どうやって票を稼ぐか?

人数構成を見てみると、中国人が40人ちょっと。あとは世界中から数名ずつ。そして、日本人は…10人。数だけで見れば、LLMの中で第二の勢力なのです。

 

立候補した人の中には中国人がいました。

中国人(台湾人と香港人を含めます)以外の人はどのように考えるか…中国人は多分中国人に票を入れるだろう。とするならば、他の票を取らなければこの勝負は勝てない。

となると、他の人と仲良くして票を稼ぐしかない。そして、第二勢力である日本人と何としても仲良くならなければならない!!!!

 

それは突然始まりました。

授業が終わった後に、インド人の女性(彼女は代表に立候補していました)が日本人で集まって授業で何を先生が言っていたかを確認していた時に近づいてきて「私に票を入れてくれない?」と言ってきました。

まぁ予想通りですね。

日本人A「君は代表になって何がしたいの?」

インドっ子「LLM生にとって快適な生活を送れるよう努力する!!イベントを企画とか。」

日本人A「どのように?」

インドっ子「イベント企画とか…」

…っとこんな感じの会話をしていた気がします。

具体性に欠けますねぇ~これじゃ僕たちを説得できませんよ(意地悪)

 

また別の時に中国人の男と香港人の女の子が来て、「僕たちは同盟なんだ、僕たちに投票してほしい」と言ってきました。

 

似たようなことが、他の立候補者からもされました。

LLM生のフェイスブックのグループページでは、立候補者が「私が代表になったら~をしたい!!!」みたいなことを書いていました。

 

でも…多分どれも日本人が誰に投票するかを決めるにあたって決め手に欠けてたんですよね。

LLM生全体が89人もいて、8月10日から土日を除いて約2週間ずっと授業で、みんなと話して仲良くなれそうなイベントなんて数回でした。

だから名前を覚えるだけでも大変だし、全員と話すことができてなかったんですよね。

日本人の中では積極的に外国人と絡みに行っていた人もいますが、それでもLLM生全員と仲良くするのは難しかったでしょうし、そもそも日本人は静かなので、他のLLM生にとって日本人の存在は決して大きいものではなかったと思います。

 

言い方に問題があるかもしれませんが、立候補者にとっては日本人に票を入れてもらえばそれで十分で、日本人としても誰が代表になっても特に自分たちに影響が出ないって感じなのではないでしょうか?

 

もしかして、世界での日本の立場もそんなものなんでしょうか?

以前誰かが、「僕が弁護士になったら、世界での日本のプレゼンスを高めたい」と言っていました。

たかがLLMの役職決めでこんなことを言いだすもの変な話かもしれないのですが、少なくともLLMのクラスの中での日本人の立ち位置は不思議な感じがしますよ。すごく目立つわけではないけど、それなりの存在感はある。人数がそれなりにいるから何かアクションを起こせばそれなりの影響力を持ってるのかもしれないのに、何かアクションを起こすわけでもないし…

他の国に人たちからすると、何を考えているか分からない可能性もありますね…

まぁ、僕も「ここで代表になるメリットがあるとは思えないし、ただでさえ授業の予習復習で忙しいのに、代表者会議云々で拘束されたら自分の時間が無くなるどころか勉強に支障が出る。それにそんな肩が凝りそうなことやるぐらいなら酒飲んでる方がいい」って思って、「代表に立候補しないか?」というメールも、立候補者の投稿も全て無視っていましたから、人の事は言えないんですけども…

 

しかし、今は誰かに投票しなければならない。どうしたものか?

日本人票10票全部が特定の誰かに入れば勝負が決する可能性は十分にありました。

まるで関ヶ原の戦いの小早川の立場ですね☆(これを他の日本人に話したら無言で僕を見つめていました)

 

投票の日が近くなってきて、戦いはヒートアップしていました。

インドっ子は、フェイスブックに「私に入れてくれればお菓子をあげるよ!!」という投稿をしていました。

なんか会社法で似たような論点がありませんでしたっけ?賛成票に投じたらクオカードあげるみたいなやつ?

そういえば日本人の誰かが「あれは選挙関係の法律違反ですねぇ~」っとコメントをしていましたね。

 

しかし!!!

それでも、誰に投票するか決まらず!!!

刻々と投票の時間が近づいていました。

 

その時、僕はあることを思いつきました。

 

つづく